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カナダ(ケベック州)で中絶手術を受けました:中絶決定は女性の権利

海外生活

中絶というと日本人にとってはもっぱらネガティブなイメージだと思います。カナダ、ケベック州で中絶手術を受けたなんて、どうしてそんな話をブログに書くんだろうと思う人もいるでしょう。

でも、私は自分の決定に誇りを持っているし、海外で望まない妊娠をしたことで不安を感じている女性を少しでも勇気づけることができるならと思い、書き留めておくことにしました。

(この投稿には、妊娠を待ち望む方や現在妊娠中の女性にとっては、不快な表現が含まれている可能性があります。そのような方が誤ってこのページを開いてしまった場合には、今すぐページを閉じられることをおすすめします)

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更年期のせいで生理不順になっているだけだと勘違い

私はそろそろ更年期にさしかかる年齢でして、生理が止まったときも年齢のせいで不順になっているだけかな、と思っていたんです。それで妊娠発覚が遅れました。

さすがに体調の変化がどうも妊娠っぽいと気がついて、尿検査を行ったのが日曜日の午後。

「妊娠したかも」と伝えても半信半疑だった夫に
「あのー、すみません。ポジティブ(陽性)なんですけど…」と告げると
「えーっ!!」
と夫。

「What should we do(どうする)?」
という夫に私は即答で、
「I need to get abortion.(中絶しなくちゃ)」
と答えました。

いろいろと考え方はあると思いますが、年齢的に今から子どもを産んで育てるなんてありえない、と考えていました。

夫だって、そうろそろ早期退職(アーリーリタイア)でも…、と思っていたところです。だいたい子どもが成人するとき私達は何歳になるのかと想像しただけでゾッとします。


カナダ(ケベック州)の中絶事情


その日は日曜日で、どこのクリニックも閉まっています。それで、月曜日の朝一番に中絶手術のアポを取ることにしました。

ネットで検索すると中絶や妊娠コントロールを専門的に行っているクリニックはたくさんあり、自宅から1.5km圏内に少なくとも3軒のクリニックがあることを確認しました。しかもそのうちの一軒は、「中絶を決定する権利は女性にある」という主張を提唱しはじめた人権団体によって運営されているところでした。

どこのクリニックにも、中絶の方法やプロセスがウェブサイト上でていねいに解説されています。それによると、最後の生理の第一日目から数えて9週までは薬での中絶が可能であり(日本では不認可)、それ以降12週までは手術による中絶が行われるということでした。

私の場合、発見が遅れたのでおそらく薬では無理だろうなと思い、手術だなと心を準備しました。若い頃に妊娠初期の流産を経験しているので、だいたい何をするかはわかっていたんです(妊娠初期の流産の処置と中絶手術はほぼ同じプロセスらしいです)。

さすがカナダだなと思ったのは、ケベック州の健康保険に加入している人は、中絶も保険でカバーされるため費用がかからないということです。日本の場合、流産は保険の対象ですが中絶手術は保険でカバーされませんよね。

望まない妊娠をしてしまった女性が、中絶決定をする際のハードルを下げる、すばらしいシステムだと思います。


モントリオールで中絶手術をダブルブッキング


そして月曜日、クリニックが開く朝8時に電話をかけました。自宅から約1.4kmにありGoogle口コミで評価の高かったクリニックです。

ケベック州の公用語はフランス語ですが、フランス語と英語の両方で自動音声が流れ、レセプションの女性も英語で対応してくれました。

でも「中絶手術の予約をしたいんです」なんて英語で言ったことがないし、夫が喋ってくれるかなと甘えていたら彼はこう言いました。
「中絶を決めるのは女性の権利だから、自分でちゃんと伝えなくちゃだめだよ」と。

「そうだよね」と思い、予約をとったんですけどね。本来なら「make an appointment(病院や歯医者さんの予約)」と言うべきところ、「make a reservation(ホテルやレストランの予約)」と言い間違えるし、笑。

とにかく、なんとか話を通じさせて、取れた予約は来週の水曜日。…ちょっと時間があきますね。この街の中絶手術はそんなにも混み合っているのかしら、と思いました。

うーん、できればもうちょっと早いほうがいいんじゃない?ということで、他のクリニックにも電話をかけてみることにしました。

二軒目に電話したのは、さきほどちらっと書いた、女性の人権団体が運営するクリニック。そこはさらに人気(?)があるのか、二週間後でないと空きがないと言われました。

それで、そこは断って三軒目。自宅からは450mという近距離にあり、Googleの口コミではちょっとだけ評価が低かったクリニックです。そこに電話すると自動音声がフランス語のみで、いやこれってフランス語しかだめなんじゃぁ、と不安がる私を「まあまあ」となだめる夫。

しばらく待たされて電話に出た女性は英語も話せる方でした。「じゃあ、明日の12時半に来てください」と言われ、このクリニックで手術を受けることにしたのです。


中絶決定は女性の権利

とりあえず無事に予約が取れた後、
「じゃあ、僕はどうしても外せないミーティングがあるから、ちょっとオフィスに行ってくるよ」
と夫は出かける支度を始めました。

玄関口で彼を見送る際、「そういえば彼の意見はきちんと聞いていなかったかも」とふと思いついて、
「Are you sure you don’t want to have a baby(赤ちゃん欲しくないって、あなたもそう思ってる)?」
と念のため聞いてみました。すると彼は即座に「Yes, I am(そう思ってるよ)」と言いましたが、そのあとすぐに付け加えて言いました。

「でも、何よりも重要なことは、中絶するにしてもしないにしても、第一に女性が決めることだ。だから僕は君の意見を尊重するよ。たしかに年齢的に今から子どもを育てるのは大変すぎると正直思ってはいるけど、もし万が一、あとで君の考えが変わるようなことがあったら、メッセージで教えて」
そういって彼は出かけて行きました。

中絶の決定は女性の権利であり、その選択は女性の自立した決定によるものでなくてはいけない。これが今のカナダでは一般的な考えだそうです。

私も、すでに海外で15年以上過ごしているためか、「せっかく授かった命だから」とか「親に孫の顔を見せてあげたい」などといった、日本人にありがちな感傷的な思いはありませんでした。

私の身体は私のものだし、私の人生も私のものです。だから、中絶という決定に誇りを持っているし、きっと後悔もしないでしょう。


中絶手術当日


翌日、つまり手術当日、夫は早朝オフィスでミーティングに出た後すぐに帰宅して、そばにいてくれました。

手術前の24時間以内はアルコールとドラッグ禁止、4時間以内は食事も水分も摂らないようにと言われていたので(クリニックによって微妙に異なります)、その通りにしました。

予約の12時半少し前にクリニックに着くと、まず検査のための尿を採取してから問診票を記入するように言われます。それが完了すると、夫は待合室で待つようにいわれ、私は上の階の処置室に上がりました。

最初にカウンセラーから手術の内容説明と、問診票を見ながらの詳細のインタビューがあり、手術同意書へのサインを求められました。同時に、将来の避妊計画についての意見を述べさせられました。

その後、彼女の説明どおり、別室で看護師さんによる血圧測定や感染を防ぐための薬の投与、さらに医師の待つ処置室に移動してから麻酔を注入されました。

麻酔が効き始める間に、妊娠の状況を確認し、クラミジア感染症の検査も行われました。

こういったクリニックは家族計画も同時に行ってくれるので希望すれば中絶手術のついでにIUD(子宮内に装着する避妊具)も挿入してもらうことが可能です。私はピルで避妊したいと告げたのでピルの処方箋をもらいました。

そうしているうちに麻酔が効いてきまして、私は処置中ほとんど眠っていたようです。名前を呼ばれて目が覚めて、ヨロヨロと隣の部屋のベッドに移ったみたいでした(あまり覚えていない)。

術後、少量の出血があったものの、手術中もその後も痛みはまったく感じませんでした。

中絶手術のあと、エクササイズやシャワー、性交渉など、いつからOKなのかの説明があり、質問もしやすい環境でした。関わる人みんなが、できるだけ患者の不安を和らげようとしてくれるのが感じられて、リラックスした気持ちですべてのプロセスを終えることができました。

まだ少しめまいは残っていましたが、なんとか歩けるくらいに麻酔が解けてきたので、階下で待っていた夫といっしょに歩いて帰宅しました。

日本とカナダの中絶事情の違い

先ほども書きましたが、日本の場合、流産は健康保険の対象となりますが、中絶手術は自己負担となるはずです。そのため、中絶手術にはだいたい8万円~10万円程度の費用がかかるようです。妊娠12週目以降の中絶となると、手術費用に加えて入院費用もかかり、さらに高額になります。

これが、望まない妊娠をしてしまった女性が中絶を決心する際の、ハードルの一つになっていることは否定できないでしょう。

また、日本とカナダとの違いとして、中絶を希望する女性への気配りという点についても違いを感じました。

私が若いころ流産の手術をしたとき、婦人科で処置を行ってもらいました。当時の私は妊娠を望んでいましたので、妊娠の定期検診に来ていたお腹の大きな妊婦さんが、同じ待合室に座っているのを見て悲しくなったのをよく覚えています。今から考えれば、その同じ待合室に中絶手術を控えた女性もいたのかもしれません。

今回、モントリオールでの中絶を受けたクリニックは、性感染症や避妊を専門的に行っている機関であり、こちらではこのようなクリニックで中絶をするのが一般的なようです。待合室にいるのは、中絶や妊娠コントロール(避妊など)の相談にやってくる女性とそのパートナーばかりです。

もしかしたら現在は、日本の病院でも、出産を控えた人と、流産してしまった人、中絶を希望する人の待合室が別々というクリニックもあるのかもしれません。少なくともそのくらいの配慮をしてくれる病院が増えればいいなあと思いました。

さらに、中絶の処置をする際に必ず「今後の避妊方法についてはどう考えていますか」という質問がされます。中絶をするだけでなく、そのあとの将来をポジティブに考え、相談にのってくれる場所なのです。こういう発想は、まだ日本では一般的ではないのではないでしょうか。

―――

これまでけっこうケベック州の医療事情には批判的なことも書いてきた私ですが、今回の経験はカナダの医療事情と人権に関する考え方について、さまざまな点で再認識させられるものとなりました。

 

 

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